スピルバークやリュック・ベッソンをおさえてロンドンにオリンピックを招致した映像作品
ロンドン・オリンピックが閉幕しました。舞台は2005年のオリンピック開催候補地の決定直前にまでさかのぼります。それまで、各候補地はオリンピック招致に向け熾烈なレース争いを繰り広げてきました。
候補地として名乗りを上げていたのは、パリ、マドリード、ニューヨーク、モスクワそしてロンドンの5都市。そして最終的に残ったのはパリとロンドン。そうした中、本命視されていたのは実はパリでした。
しかし、ロンドンは最後のプレゼンテーションとプロモーション・ビデオで大逆転し、開催地の座を射止めたのです。
とりわけ、そのプロモーション・ビデオが投票権を持った各国の国際オリンピック委員会(IOC)メンバーの心をゆさぶり、共感を生み出したことが、ロンドンの勝利を決定づけたと言われています。
競合だった開催地候補のプロモーション・ビデオの制作監督は、名だたる映画監督たちでした。たとえばニューヨークはスティーブン・スピルバーク。そして最終的にロンドンと争ったパリはリュック・ベッソン。
一方、ロンドンのプロモーション・ビデオを制作したのは当時、世界的にはほぼ無名の映像ディレクター、ダリル・グッドリッチ。
そのビデオは『インスピレーション』というタイトルのものでした。
Olympic 2012 - Inspiration from Smoke & Mirrors on Vimeo.
さまざまな国の小さな子供たちがオリンピックの映像にインスパイアされ、あの舞台に自分が将来立つんだ、と決意するシーン(つまりインスピレーションを得た瞬間)が印象的に描かれています。
それだけではありません。人種、民族、地域的多様性のある複数の主人公たちのストーリーを描いたことも功を奏しました。彼ら主人公は、アフリカ系黒人、アジア系黄色人種、南米系黒人、ヨーロッパ系白人の子供たち。 各国の代表によって構成されるIOCメンバーたちは、比較的自分に近い、人種、民族、地域性を帯びた主人公に感情移入し、知らず知らずのうちに彼らを応援していたのではないでしょうか。
また、人種、民族、地域的多様性を持った主人公を起用することで、「英国主催のオリンピック」というより「さまざまな国・地域の人々みんなのオリンピック」だというメッセージも伝わったはずです。(抜粋)
一方、日本では2016年度の五輪招致のために石原都知事が電通に6億円で映像をつくらせたものの見事にブラジルにもってかれたのだった…(´;ω;`)
- 関連記事
この記事へのコメント
コメントの投稿